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ツェルトでテント泊するってどんな感じ?
登山でテント泊する際に気になるのが重量ですよね。登山はオートキャンプと違って全ての道具を自分で背負う必要があります。なので1gでも軽い道具が好まれます。
でもUL(ウルトラライト)なテントと言っても大体は1kg程度。しかも値段も5万円以上のものがほとんどです。ツェルトなら300g程度だし値段も手頃。デメリットを理解して使えばすごく便利です。ツェルトを使えば山の荷物の大幅軽量化が期待できます。
ツェルトは軽量なのが魅力。でも注意すべき点もあるよ
そもそもツェルトって何?なぜ軽いの?
そもそもツェルトって何?テントと何が違うの?
ツェルトは簡易テントと呼ばれるものだよ。テントと違って自立しないのでトレッキングポールなどを使って建てるんだ。
ツェルトはビバーク用の簡易テント
ツェルトの語源はドイツ語のZeltsack(ツェルトザック)。そのまんまテントという意味です。日本の登山用語はドイツ語由来の言葉(ゲレンデ、とかね)が多いのでツェルトという言葉になりました。ただし日本語のツェルトは一般的なテントではなくビバーク用の簡易テントを指します。
薄いナイロンの布1枚だけ。ダブルウォールテントのようなフライシートもありませんし、バスタブ型の床でもありません。簡易テントというよりは「簡易テントにもなるナイロン布」、シンプルなものです。
ツェルトはテントと違って骨組みとなるポールやフライシートがないんだ。その分軽量になっているんだよ。
ツェルトは被ったり、タープのように使ったり、様々な使い方ができる
元々はビバーク用の道具なので様々な使い方ができます。ちょっと寒い時に被ったり包まったり。また床の紐を解けばタープのように使うこともできます。数名のパーティでビバークする際には包まったり、タープにして雨を凌ぐような使い方もできます。
言わばこの「お守り」のようなツェルトを積極的にテント代わりに使うのがツェルト泊です。
ツェルト泊のいいところ(軽い!簡単!安い!)
テント泊と比較してツェルト泊のメリットはなんでしょう?ちょっと整理してみました。
なんと言っても軽い!荷物が軽くなるのが最大のメリット
ツェルトの最大のメリットは軽さ。僕の使っているアライテント・スーパーライトツェルト1はなんと280g。もう少し大きいツェルトでも400g未満です。登山用テントとして人気のモンベル・ステラリッジ2がフライシート込で1.43kg、その差は歴然です。僕は膝痛を抱えていて重いザックで長時間歩くのが辛いんです。なのでツェルトの軽さはすごく助かってます。
畳んでしまえばこのサイズ。水筒やカップと比較するとその小ささがわかると思います。日帰り登山でもエマージェンシーツールとして持っていくと安心です。
畳めば350ml缶程度のサイズです。これならザックに入れておいてもかさばりませんよね。ツェルトはサイズも小さいのでザックも小さくて済むのも嬉しいところ。2, 3日の縦走であれば45Lザックで充分収まります。小さいザックにできればザックも軽くなりますからね。
慣れてしまえばツェルトの設営・撤収は簡単
ツェルトって建てるの難しそう。そんな印象を持っている人もいるかもしれませんね。慣れてしまえばツェルトの設営は簡単です。4隅をペグダウンして、後はトレッキングポールを立てて張綱にペグを打つだけ。全部で8本のペグだけですからあっという間です。岩が使えるサイトではペグの代わりに岩で固定するので4本のペグでも大丈夫です。
張綱を予め真ん中に結んで輪を作っておくと設営の時間を短縮できますよ。
僕は張綱を予め真ん中で輪を作るように結んでいます。この輪にトレッキングポールを入れればすぐに張綱のペグダウンができますよ。
撤収は更に簡単です。ペグを抜いて後は畳むだけ。ほんの数分で畳むことができます。実際にはザックの中身を詰めたり色々ありますがテントの撤収よりは簡単です。これは忙しい山の朝に助かります。
ツェルトはお財布にも優しい。手頃な値段も魅力です
ツェルトはこんなに軽量なのにお値段も手頃。1kg未満のテントを探すと5万円以上が一般的。中には10万円を超えるものも。。でも僕が使ってるアライテント・スーパーライトツェルト1なら1万円以下。ちょっとお高い人気のファイントラック・ツェルト2ロングでも2万円代です。
僕が使っているのはこれ。ちょっと狭いけど軽さが魅力
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山で人気なのはこちら。ツェルトとしては広いのが魅力
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軽量なツェルトにしたらマットも軽量にしたい
せっかく軽量なツェルトにしたらテントマットも軽量にしたいですよね。僕はこのエバニューのマットを使っています。これは折り畳めるのでザックの中に収納できるのが魅力です。
マットってザックの外につけることが多いと思います。特に軽量化して小さいザックを選ぶとマットが大きくはみ出て歩きにくいんです。ザックに収納できるのは便利ですよ。
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エアマットの併用もいいですよ。僕はKLYMITのマットを使っています。これはシュラフの中に入れるモデル。エアマットの弱点である穴あきリスクもシュラフの中で使うことで避けられます。エバニューのマットと合わせて使ってます。両方合わせて600g未満!ありがたいです。
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ツェルト泊の注意すべき点(狭い!風に弱い!)
軽量で簡単に設営ができるツェルトですがメリットだけではありません。デメリットも理解して使ってみてください。
ツェルトは室内が狭い!特に雨の日は不便
ツェルト最大の難点は室内が狭いこと。僕が使っているアライテントのツェルト(スーパーライトツェルト1)は室内高90cm、間口90cmです。ザックや荷物は体の横に並べて置くしかありません。山では2〜3人用テントをソロで使っている人も多いと思いますが、それと比べれば本当に寝る場所しかありません。
雨のツェルト泊。中が狭いので雨の日の食事はちょっと辛い。できれば小屋の自炊室を使うなどしてツェルトは寝るだけ、にしたいところ。
特に雨の日はテント内で食事を取る必要があります。室内高90cmだと猫背にしないと座ることができないのでツェルト内での食事はちょっと苦労を伴います。
でもまあツェルトの中ではほとんど寝るだけなのであんまり気にならないんですけどね。それに狭い方が秘密基地っぽくて気持ちいい(?)ものね。
ツェルトは骨組みがないので風に煽られると辛い!
ツェルトは両端を紐で引っ張って建てるので骨組みがありません。ですので構造的に横風に弱い難点があります。テントは骨組みとなるポールがあるので多少の風でも壁面はピンと張っていますがツェルトは風に煽られると壁面が顔に当たるくらいバタつきます。
これは、まあ、諦めるしかないですね。ファイントラックのツェルトはサイドリフターという横にステーを張れる機能があるので多少は横風にも強いようです。山で見かけるツェルト泊の多くがこのモデルを利用していて僕も気になっている製品です。
北アルプスでもツェルト泊。実はこの日は夜から暴風で大変でした。潰れてるテントもあったくらい。
運悪く周りのテントも潰れる程の暴風になったこともあります。そんな時はポールを畳んで「袋の中で寝る」と割り切りました。風切音は凄かったけどね笑
ツェルトの結露や虫の侵入を心配する人も多いがそれほどでもない
ツェルト泊というと結露や虫の侵入を気にする人もいることでしょう。結露はきっちりと密閉すればどうしても発生します。僕はそんな時は入口を開けてしまいます。寒い季節でなければ星を見ながら寝る、というのも気持ちいいものです。
虫の侵入はあまり感じたこと、ないんですよね。八ヶ岳や北アルプスのような高山で使うことが多いからかもしれません。虫が多い場所であればモスキートネットや虫除けを組合せれば大丈夫かな?と思いますが、まだ困ったことがないのでなんとも言えません。
確かにツェルト泊は不便で不快なこともあるけれど
結局テントでも快適なわけでもないし
ツェルト泊は確かに不便なところもあります。ではテント泊は快適か?と言えばテントもそれなりに不便なところはあります。キャンプ用と異なり登山用のテントは狭いし、斜めのサイトも多いし、マットの上にごろ寝する点では同じです。
テント泊なら大雨でも快適、とか、ベッドのような快適さ、というものでもない。だったら、そこまで大きな違いではないんじゃないかな?って思ってます(個人の感想なので人によって違うと思いますが)
テント泊ならホテル並みの快適さ、というわけでもない。どうせ不便が残るならツェルト泊の軽さの方が嬉しい??
とんでもない悪天候になったら小屋泊すればいいと割り切る
後は割り切ることかな、と思います。ツェルト泊でもある程度の雨や風は凌げます。ですが明らかに悪天候になる、とわかったら小屋泊に変更してしまえばいいんです。
雨の日も風の日も小屋で泊まるなら問題ないですからね。縦走の途中で予期せぬ悪天候に見舞われたら小屋泊にして休む。そんな柔軟性があればツェルト泊でも充分に楽しめると思います。
大雨の日は無理せず小屋泊に変更。服を乾かせたり暖かい部屋で休めるのはありがたいこと。
ま、最初から悪天候と分かっていたら山に行かないですけどね。縦走途中で天気が変わることもよくあることです。そんな時は無理をしないに限ります。
たまさんの頑張りすぎないポイント
ツェルトの魅力はなんと言っても軽さ。そしてそのシンプルさ。ナイロン布一枚で寝る、というシンプルなスタイルを魅力と感じる人にはお勧めです。僕は膝にも財布にも優しいツェルト泊が好きだなあ。体力と財力のある人は高級UL(ウルトラライト)テントでもいいかもしれませんね。
快適さは少し犠牲になるので人を選ぶ道具だけど、軽量化に興味がある人は試してみてはどうかな?と思います。
メリット・デメリットを理解してツェルト泊を楽しもう
ツェルト泊は誰にでもお勧めするスタイルではありません。正直不便な点もあります。でもツェルト泊にはテント泊以上に自然と一体になる気持ちよさがあります。不便な点も、それも山の楽しみと割り切ってしまえばいいのかな?と思える人には是非試してもらいたいスタイルです。
八ヶ岳南麓でアウトドアを頑張らずに楽しんでね!
僕はソロで山に行く時はほぼツェルト泊です。ツェルトはなんと言っても軽さが魅力。でもちょっと癖があるので今回は「頑張るアウトドア」かも笑