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完全テレワークなら好きな場所で働くことができる
こんにちは。八ヶ岳にテレワーク移住している、たまさんです。このブログではワーケーションやテレワークについて書いていこうと思っています。
今回はテレワークでの移住について書いてみます。就業の不安は地方移住検討における不安として上位に上がることが多い項目です。仕事はあるのか?今の仕事を続けられるのか?という不安です。
完全テレワークで働いているならば仕事を変えることなく地方移住も可能です。収入の心配がない、というのは地方移住のハードルを大きく下げてくれることでしょう。
テレワークで今の勤務先のままの移住を望む人が4割以上
2021年12月に発表されたNTTデータ経営研究所の調査によると地方移住に関心があるのは都市圏生活者のうち約4割。その人達に移住後の仕事について尋ねてみると、4割以上(44.4%)が移住後はテレワークを前提としつつ、今の勤務先で働き続けたいという意向です。
これは自然豊かな環境で暮らすことへの要望は高いものの、仕事に関しては今の仕事を継続したい、という意向が強いことを示しています。ちなみに移住後の仕事についての希望の第2位は、主に通勤しながら現在の職場での勤務を続けたい(16.3%)、でした。テレワークで働けるか、通勤を伴うかの違いはあれど、現在の職場を変えることなく地方移住を考えたい、という人が過半数を占めます。
都市圏生活者の約4割が地方移住に関心があり、そのうちの4割以上が主にテレワークで今の勤務先で働き続けたいという意向
一方で移住先の企業・団体に転職したい、移住先で就農したい、移住先で起業したい、は3つ合計で22.2%に留まっており、移住しても仕事は変えたくない、という希望が多数を占めます。
テレワークで移住する魅力とは?
完全テレワークなら移住のハードルも低い
多くの人が望むテレワークで今の勤務先で働き続ける地方移住を望んでいます。確かにこれは魅力的です。地方移住の大きな課題となる地方での就業というリスクがなくなるためです。住みたい地域があっても、そこには自分の経験やスキルを活かせる仕事がない。もしくは会社が限られる、といった心配をなくすことができます。
完全テレワークの仕事ならば地方移住しても今の給与水準を維持できるので移住のハードルも低くなる
地方は人口が限られるため企業数も都市圏ほど多くはありません。地域の企業に転職して馴染めなかった場合など、同業への再転職機会が限られることもあります。一方で仕事が変わらないなら地方移住と言っても単なる引っ越しです。また永住を決意しなくとも数年で住む場所を変える、といった自由度も得られます。
地域の給与水準のギャップも解消できる
完全テレワークで地方移住する場合、都市圏の給与水準を維持できるのも魅力です。都市部は地方と比べて平均給与も高い傾向があります。
転職情報のDodaの調査を参照してみましょう。これは2020年9月~2021年8月に同サイトに登録した個人の年収情報となります。これによると、東京都の登録者の平均年収は438万円。全国Topです。一方山梨県の登録者は平均年収379万円。15%以上高い値となっています。
これはあくまで平均なので実際の年収は個人差が大きいと思います。ですが東京都とそれ以外の地域の給与水準は常にギャップがありますので都市圏の給与水準を維持したまま地方移住ができる、というのは大きな魅力と言えるでしょう。
完全テレワークができる業種はどこか?
完全テレワーク(週5日以上)できているのは全体の約17%
では現在完全テレワーク(週5日以上テレワーク)できている人はどのくらいいるのでしょうか。2021年3月発表の国土交通省調査によると令和2年(2020年)で対象となるは16.8%となっています。これは実は平成28年(2016年)から大きく変わっていないのです。
週1日以上のテレワークを実施している企業はコロナ禍の影響を受けて2020年に大きく伸びています。しかし完全テレワーク実施企業はあまり増えていない、と言えるでしょう。
テレワーク実施率が高い業種は情報通信業・職種は研究職
テレワーク実施率が高く、地方移住のハードルが低いのはどのような業種、職種なのでしょうか?同じく国土交通省の調査を見てみましょう。
業種別に言うとTopは情報通信業(66.1%)。次いで学術研究、専門・技術サービス業(47.1%)となっています。2つ目の業種はちょっと分かりにくいのですが、広告業、設計・デザイン業、税理士・会計士などが含まれます。個人事業主なども多い業種です。職種別に言うとTopは研究職(56.0%)。次いで管理職(43.8%)となります。
IT業界(情報通信業)勤務や研究職、専門サービス職などがテレワーク比率の高い仕事
この調査からは完全テレワーク(週5日以上)の業種・職種別比率まではわかりません。しかし業種・職種として比率が高いことから、これらの業種・職種で働いている方はテレワークでの地方移住も可能性があるといえるでしょう。
自由な居住地で働ける制度を導入する企業が続々と
企業側でも完全テレワークを前提に自由に居住地を選べる制度を導入するところも増えてきました。記事として掲載された主なものを抜粋します。
- 転職情報サイトDodaを運営するパーソルキャリア株式会社。2021年4月より居住地を自由に選べる制度導入 (パーソルキャリアWebサイトへのLink)
- ヤフー株式会社。2022年4月より全従業員約8000名を対象に全国どこでも居住地を自由に選べる制度を導入(ヤフー株式会社WebサイトへのLink)
またNTTも今後居住地を自由に選べる制度導入を進める、と決算の場で発表しました。大手企業を中心に制度化を進める企業が増えてきています。IT業界ではこれら大手企業だけでなく中小規模の企業でも完全テレワークを進めているところがあります。テレワークでの移住のチャンスは広がっていると言えるでしょう。
テレワークでの移住が難しい企業とは
支援制度が整っていない企業ではテレワーク実施率が低い
一方、逆にテレワークでの移住が難しい企業はどんなところでしょうか。再び先の国土交通省の調査を見てみましょう。テレワーク支援がある企業の就業者は、支援制度がない企業の就業者より10~30ポイント、テレワーク実施率が高いとなっています。
つまりテレワークを進める意思があり、試行錯誤ながらも支援をしている企業では実施者も高くなるわけです。ここでの支援とは、主にノートPCの貸出、購入費補助であったり電話代通信費補助などです。
テレワークで必要な環境(ノートPCやネット接続など)の費用を企業が支援する、などの取組がある企業はテレワークへの理解があると考えられます。今は移住が制度化されていなくとも今後整備されていくかもしれません。
テレワーク実施率が低い業種ではテレワークで生産性が下がる傾向も
帝国データバンクが2022年2月に発表したテレワーク調査があります。これによると、テレワークを実施して生産性が下がった企業が過半数。ただし情報サービス業では逆転して過半数が生産性が上がったと回答しています。
これは大変面白いデータだと言えるでしょう。工場、店舗、倉庫など現場がある企業では現場就業者のテレワークは困難です。製造業や小売業でのテレワーク実施率が低いのはよく分かります。しかし、人事・経理・マーケティングなどの本社業務は製造業であれ情報サービス業であれ業務に大きな違いはないはずです。にも関わらずテレワークでは生産性が下がるのはなぜでしょう?
帝国データバンクの調査はその点には触れていません。しかし統計から推測すると以下の傾向が見えてきます。それはテレワーク実施率が低い業種ほどデメリットを感じる比率が高い、ということです。
なぜテレワークで生産性が下がるのか?
この傾向が原因なのか帰結なのかは分かりません。テレワークによるコミュニケーションの課題というのは以前から指摘されているものです。課題は共通なのに、生産性という点でここまで極端に違いが出るのはなぜでしょう?
これは実施率が低いため十分な経験(ベストプラクティス)が共有されていない可能性が高い、と僕は考えています。テレワーク実施率が高い業種でも以前とまったく同じ業務プロセスを行っているわけではありません。新しいやり方を試み、その結果生産性が高まっているのです。
生産性が下がった、と回答している企業ではベストプラクティスを知らぬまま、従来の業務プロセスをそのままテレワークで行おうとしているのではないでしょうか?その中で従来からあったプロセス上の課題や矛盾が一層顕在化し、苦労しているのではないか。そう想像しています。
完全テレワークで自由に暮らす場所を選ぶ働き方を目指すには
ご覧のように、完全テレワークができる仕事はまだ一部の業種、職種に限られています。また今後もこの制度が普及していくかは不透明です。しかし都市圏の給与水準で地方で生活ができることのメリットは大きいものです。
また受け入れる自治体にしても大規模な企業誘致などの投資を伴わずに都市圏水準の収入がある納税者が増えるのは魅力的なはずです。このような新しい形の移住が増えていくことを望んでいます。
八ヶ岳南麓への移住/二拠点生活、成功するテレワークに関しては以下の記事も参考にしてみてください。