リアルとリモートの混在。ハイブリッドワークでうまく仕事を進めるには

フルリモートワーク

ハイブリッドワークとは?

八ヶ岳南麓にテレワーク移住している、たまさんです。ここでは成功するテレワークについて紹介します。今回はハイブリッドワークを成功させるために重要なことについて書いてみます。

ハイブリッドワークという言葉を耳にしたことはありますか?リアルとテレワークを混在させる(ハイブリッド)働き方を指します。コロナが落ち着いてきた今、新しい働き方の主流となると言われています。

ポストコロナでリアルとリモートが混在し始めた

コロナが落ち着き始め、リアルなオフィスへの回帰を進める企業も増えてきました。もちろん完全テレワークを続ける企業もありますが週1日、週2日などの出社を求める企業もあります。東京都の調査によると2022年4月時点でテレワークを実施している企業のうち約8割が週4日以下の実施。つまり週1日以上は出社する、ハイブリッドワークを実施しているそうです。

リアルとリモートが混在するハイブリッドワークはテレワーク実施企業の約8割を占める主流となっている

ハイブリッドワークでの課題。リアルとリモートの融合

テレワークを成功させるためには従来のオフィスでの働き方とは多くの変革が必要です。このことは既に多くの調査で説明されています。しかし部分的なリアルが混在するハイブリッドワークは、これまでの全員テレワークとは異なる課題があるのです。

ハーバード・ビジネス・レビューの記事に「ハイブリッドワークの5つの課題をいかに克服するか」という論文があり概要が整理されているので参考にしてみてください。この論文で指摘されている5つの課題とは以下のものです。

  1. コミュニケーション
  2. コーディネーション
  3. コネクション
  4. クリエイティビティ
  5. カルチャー

これらはテレワークが始まった頃から指摘されてきたものも含まれますがポイント少し異なります。ハイブリッドワークではリアルとリモートの格差を埋めることがより重要となります。

ハイブリッドワークのベストプラクティスを参考にしよう

IT企業などではグローバルにハイブリッドワークを実践しているところが多くあります。その中には自社の試行錯誤から生まれた、働き方のベストプラクティを公開しているところもあります。

  • Dropboxバーチャルファースト・ツールキット
    • Dropboxはバーチャルファースト宣言をし、基本的には完全テレワークとなっています。同時に従業員交流への施設も備えています。このツールキットは単なるITツールの使い方ではなく会議のあり方、働く時間の管理などのTipsが記載されています。

ハイブリッドワークでうまく仕事を進めるには

リアルとリモートが混在する中でうまく仕事を進めるにはいくつかの要素があります。これらが整うことでハイブリッドワークは非常に効率的な働き方となるのです。

  1. 従業員が場所を問わずどこでも働ける
  2. リアル参加者とリモート参加者での情報格差や発言力が等しい
  3. 異なる場所でも共同作業が可能なツールがある
  4. リアルの価値は人的交流であると共通認識できている

場所を問わずどこでも働けるスキルを身につける

まず重要なのは場所を問わず等しい成果を出すことです。オフィスのほうが圧倒的に仕事がしやすい、と感じている人は自宅や旅先などでは充分な成果を出せません。逆に自宅に快適な設備を揃えた人も今は多いことでしょう。オフィスのほうが邪魔が入り生産性が下がってしまう人もいるでしょう。

どこでも働ける。どこでも成果を出せる。そんなスキルの習得が重要です。この本はワーケーション実践の第一人者がどこでも成果を出すための技術をわかりやすくまとめています。一読すると参考になると思います。

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リモート参加者が発言しやすい環境を作る

リアルとリモートが混在してもオフィスに出社している人が1人またはごく少数ならば全員リモートと同じことです。しかしオフィスに集まって会議をしているところに1人またはごく少数がリモートから参加することを想像してみましょう。

リモートからタイムリーに発言するのに困難を感じる人もいるのではないでしょうか?会議室の中だけで盛り上がってしまってはリモート参加者は疎外感を感じ、ますます発言を控えてしまうでしょう。会議のファシリテータはリモート参加者への発言を促すなど発言が均等になるよう心がけましょう。

またこれは会議の中だけではありません。情報格差をなくすことも重要です。俗に言う「重要なことは夜(飲み会で)決まる」とか「タバコ部屋情報網」といった現地にいるメンバーだけが知っている、という環境です。これではリモート勤務者は情報のハンデキャップを抱えることになります。必要な情報はチャットやクラウド上のドキュメントで共有することで情報格差をなくすことが重要です。

どこにいても共同作業ができるITツールを活用する

オフィスとリモートで分散して働くハイブリッドワーク。ITツールを利用することで異なる場所でも共同作業をしやすくなります。オフィスにいればホワイトボードやプロジェクターなどを使えます。しかしリモートで働くメンバーは会議室の様子をZoomなどの画面越しにしか見ることができません。全員が等しくリモートにいる時以上に共同作業に気を使う必要があるのです。

(参考)共同作業に便利なITツール

  • MIRO
    • クラウド型ホワイトボードの代表的製品。付箋を利用したブレインストーミングなどに便利。会議参加メンバーが各々のPCから共通のボードを見ることができる
  • Dropbox Paper
    • クラウドストレージの代表的製品であるDropbox付属の機能。会議参加メンバーが同時に書き込める。簡易なプロジェクト管理にも利用できカンバン的な使い方もできる。もちろんクラウドストレージとしてファイルの共有にも使えます。

下記IT reviewでは同一ジャンルの製品をリアルなユーザー口コミで比較できます。数多くあるITツールから最適なものを選ぶのは難しいもの。口コミも参考にして検討してみてください。(サイトから直接購入もできます。)

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リアルの価値は人的交流であり生産性ではない

どこでも成果を出せる技術を習得すれば、働く場所が生産性に与える影響は問題ではなくなります。オフィスでなければできない仕事があるならば、それは仕事のプロセスに課題があるのです。

文書の仕分けが必要ならば電子化しクラウドストレージを活用できます。それによりどこからも文書にアクセスできるようになります。押印が必要ならば電子契約を導入すれば済みます。ITツールのリテラシーが低い従業員が多ければトレーニングを行うことで負担を下げることができます。オフィスの価値は仕事の生産性ではないのです。

ではリアル(オフィス)の価値とは何でしょうか?それは人的交流。いわゆる雑談の価値です。雑談はイノベーションのために必要とも言われています。しかし、より大きいのがポジティブな帰属意識の醸成です。そして組織へのポジティブな意識はモチベーションを高め、自律的なチームを育てます。

(参考)オフィスで効果的に交流するために

週に1、2回の出社を求めているハイブリッドワーク企業は多いと思います。この場合、出社する曜日を決めてしまうことも効果的です。自由に出社日を選ぶ場合、出勤しても周囲に同僚がいないかもしれません。これではせっかく時間をかけて通勤しても交流が発生しません。

ある企業では出社は金曜日に限定、としているところもあります。自然と交流が生まれる環境を作るためだそうです。金曜日出社すれば必ず誰か同僚がいるわけです。この企業では従業員も出勤は同僚との交流という共通認識があり積極的に雑談を行っているそうです。

ハイブリッドワークは今後の新しい働き方

ハイブリッドワークはうまく活用できれば従業員満足度、生産性、高いモチベーションを得ることができます。しかしこの新しい働き方は多くの企業でまだ試行錯誤の状態です。

リアルとリモートの融合で新しい働き方を手に入れよう

リアルとリモートが融合したハイブリッドワーク。自由に働く場所を選べるQOL(Quality of Life; 生活の質)を高め、テレワークの高い生産性を得られ、さらに人的交流で従業員のポジティブな帰属意識を高めることができます。

それだけでなく育児中の世代や介護などの事情を抱えた従業員も働きやすいなどの多様性を高める効果も期待できます。Slackの調査によればリアル志向が強いのは経営者・白人・男性と既存権力を持つ層に多いそうです。社会的弱者やマイノリティにとっても働きやすい環境を作るためにもハイブリッドワークが今後定着することを望みます。

成功するテレワークについてはこちらの記事も参考にしてみてください。

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