地方移住/二拠点生活は進んでいるのか?

八ヶ岳

地方移住のトレンドは本当か?

こんにちは。八ヶ岳にプチ移住して働いている、たまさんです。このブログではワーケーションやテレワークについて書いていこうと思っています。

今回は地方移住や二拠点生活が進んでいるのか?について記してみます。コロナで地方移住が増えている、というニュースもよく耳にするようになりました。一方で都心のマンション価格が急上昇していて都心回帰の流れ、とも耳にします。実態はどうなのでしょう?

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東京都23区の人口が初の転出超過に

2022年1月に総務省統計局が2021年(令和3年)の人口移動について統計を発表しました。住民基本台帳に基づき集計したものですが、統計開始の2014年以降で初めて東京都特別区(23区)の人口が転出超過(人口減)になったそうです。東京都心からの脱出は明らかのように見えますよね。

ちなみに東京都全体としては大きく減少したものの引き続き転入超過(人口増)となっています。

転出は2020年以降急増している

この統計によると実は東京都23区からの転出者は7年連続増加しています。ですのでコロナ禍での地方移住ブームというよりは都心の地価高騰を受けた郊外への人口シフトは以前からあったトレンドだと言えるでしょう。

あわせて2020年以降は転入者が大幅に減り転出超過となりました。これはコロナ禍で大学新入生や新人社員の上京が抑制されたからでしょう。ではこの転出超過はコロナ禍での転入者減少だけが原因なのでしょうか?

実は2020年、2021年と連続して転出者が急増しているのです。この転出者増と転入者減が重なり統計史上初の転出超過となったわけです。

詳しい統計は総務省のWebサイトを参照してください。

東京都23区転出超過=地方移住増なのか?

ではこの東京都23区の転出超過は地方移住増に直結しているのでしょうか?これは「郊外シフト」と「地方移住増」の2つに分化できそうです。先の総務省統計局のデータから2021年転入者が大きく増加した自治体を調べてみましょう。

郊外への転出が大きく伸びている

総務省統計局のデータによると、東京都特別区部(23区)からの転出先市町村のTop5は横浜市、川崎市、さいたま市、川口市、市川市となっています。いずれも23区に隣接している都市です。そして実はこのTop5は2018年から変わってないのです。つまり東京都23区の住民が転出するのは以前からこの近隣5都市が多かった、ということで特別な変化があるわけではありません。

しかし2021年に大きく伸びたところを見ると少し光景が変わってきます。2020年と比較して23区転出者が伸びた市町村を見てみると、茅ヶ崎市、藤沢市といった湘南地区が1位、2位を占めています。また3位以下も上尾市、国立市、日野市、町田市、流山市、千葉市、草加市、つくば市と続いており都心から少し距離のある郊外都市が伸びているのがわかります。

多摩地区や隣接県など自然豊かで通勤も便利な郊外への転出が続く

これを見ると都心からもアクセスが便利(通勤も可能)で自然も豊かな市町村が人気になっていることがわかります。

リゾート地への転出も増えている

東京都23区の都心住民が郊外へ転出しているのはデータからも事実です。これはテレワークの普及だけでなく地価高騰も影響していると考えられます。テレワーク用に1部屋多い家に住みたい。長く家にいるから快適な暮らしをしたい。それも予算内で。という要望の受け皿に郊外の市町村がなっている、ということでしょう。では一都三県からなる東京圏から更に外へ、という地方移住はどうなっているのでしょうか?

2021年、東京圏(一都三県)が転出超過となっているのは沖縄県、茨城県、山梨県の3つです。特に沖縄県は2年連続転出超過となっています。茨城県と山梨県は2021年に新たに転出超過となりました。沖縄県は日本を代表するリゾート県です。山梨県は首都圏とも言えますが南アルプス市、北杜市のリゾート地が転入超過です。

さらに転入超過の大きい市町村を県別見ると興味深いものになっています。例えば新潟県の転入超過1位は湯沢町。長野県の転入超過1位は軽井沢町でいずれもリゾート地を持つ市町村が人気となっています。

都市圏居住者は地方移住を考えているのか?

どうやら地方移住が進んでいるというよりは都心脱出が進んでいるようです。多くは首都圏郊外の市町村が受け皿になっています。リゾートを持つ市町村は転入が増えていますが地方都市全体に波及しているものではないようです。

では現在都市圏に住んでいる人は地方移住を望んでいるのでしょうか?2021年12月にNTTデータ経営研究所が発表した記事を見てみましょう。

都市圏居住者の約1/3が地方移住を考えている

この調査は都市圏(首都圏、名古屋市、大阪市)居住者を対象としています。中京圏は名古屋市のみ、関西圏は大阪市のみ、を対象とするなど対象を都市中心部に限定しています。ちなみに首都圏の対象地域は東京都は23区のみ。神奈川県は横浜市、川崎市、相模原市のみ。千葉県は千葉市、船橋市、松戸市のみ。埼玉県はさいたま市、川口市、川越市のみ、となっています。

これによると、都市圏居住者の約1/3が地方移住を考えているそうです。しかもその約半数は検討・準備を進めているとのこと。地方移住を意識している人が多いことが分かります。

なお、この地方移住の中には郊外への転出も含まれるのでいわゆる田舎暮らしとは少し異なります。詳しくはNTTデータ経営研究所のWebを参照してください。

希望する移住先は自然豊かで便利なところ

この調査では希望する移住先を3つまで挙げてもらっています。その中で10%以上得票したのが千葉県、神奈川県、長野県、東京23区外、埼玉県、北海道、静岡県となっています(高得票順)。選定理由のトップは「自然環境が豊かだから(49.3%)」でした。これは自身や親族の出身地など地縁があるかを大きく引き離しています。

またこれは実際の行動とも近いものと言えるでしょう。先の総務省統計局のデータでも実際に東京都23区の住民が転出しているのは東京多摩地区や隣接3県の市町村が上位になっています。

2つの調査で異なる地域は、この調査では長野県、北海道と静岡県が上位ランクしているところです。一方で(総務省統計局のデータでは転出超過となっている)沖縄県、茨城県、山梨県は含まれていませんでした。この違いは希望と実際の違いと言えるでしょう。

移住先候補選定理由のトップは「自然環境が豊かだから」しかし同時に利便性への要望も高い

この調査では「地方移住に際し重要視する要素」も調べているのですが、そのトップ3は以下のものが挙げられています。

  1. スーパー等、生活インフラへの距離や店舗数(52.8%)
  2. 家賃の安さ(50.0%)
  3. 都心からのアクセス(48.3%)

家賃が安く、都心から便利な場所として色々検討してみたら、実際は茨城県や山梨県も浮上してくるのかもしれません。(沖縄県と北海道の違いはここでは不明ですが)

移住後も今の勤務先での就業希望が6割以上

この調査ではもうひとつ興味深いデータがあります。移住後の就業についてです。これによると最多は「主にテレワークを行いながら現在の職場での勤務を続けたい」。44.4%と4割以上となっています。次に多いのが「主に通勤しながら現在の職場での勤務を続けたい」です。こちらは16.3%となっておりこの2つをあわせると6割以上が移住後も現在の職場での勤務を続けたいという意向です。

テレワークなどで移住後も現在の職場で勤務を続けたい意向が4割以上も

一方で移住先で新たに就業、起業、就学を希望しているのは合計で7%未満。多くのひとは仕事を変えずに郊外や地方へ移住することを考えているようです。

テレワークで自由に住む場所を選べる時代が来るか?

この調査から感じたことはテレワークにより仕事を変えずに住む場所を自由に選べる時代となりつつある、ということです。自然が豊かで、家賃が安く、また、都心へのアクセスも便利な場所というのが人気となりそうです。

郊外の住宅地だけでなく、新幹線や高速道路でアクセスしやすいリゾート地も対象となるでしょう。

地方移住の最大の課題は就業です。というのは地方では職場が限られているためです。特に大手企業勤務者がそのまま経験を活かせる職場は限られていました。地方生活は魅力でも所得を落としての移住を躊躇させることもあったでしょう。

テレワークを活用することで職場も所得も維持した上で地方生活を楽しめる。そんな時代が早く来ることを願っています。

移住/二拠点生活に関する情報はこちらの記事も参考にしてみてください。